ぬくゐ川


庭田神社の境内を通り抜け 裏の鳥居をくぐったところに
ぬくゐ川がございます。
真夏でも清水がこんこんと湧きだして冬でも温度が変わることがありません。
「ぬくゐ」=ぬくいというのはこの地方の方言で温かいという意味がございます。
温泉というほどでなくとも遥か古代には温かい水が湧き出していたことと思われます。
というのも庭田神社のある染河内地区には数か所の自然温泉の言い伝えがあったのです。
しかし地熱の通り道が変わってしまったのか現在「ぬくい水」が湧き出ているところはありません。

ぬくゐ川が神代の昔に 神々の酒を醸すきっかけとなり
お米の醸造酒である日本酒は誕生いたしました。

村人たちは、このお話を子供のころに少し聞いたことがあっても、その真偽を確かめるすべもなく長い年月がたちました。
近年になり 様々な古文書の解読も進み、研究された文献の中に「播磨國風土記」がありました。
風土記とは、時の天皇陛下が各地の様子や名物などを調べさせ編纂された、平たく言えば「ガイドブック」です。

そのなかに
「庭音村 元の名は庭酒なり 大神の御粮枯れて粫生ちき  即ち酒を醸ましめて庭酒を献りて宴しき 故 庭酒の村と云ふ 今の人 庭音村と云ふ」とありました。


「播磨國風土記」に書かれているこの記述とぬくゐ川の伝承の一致、そして村人への聞き取り、村の文献の再調査などを経て日本酒発祥の庭酒の村が、現在の染河内であることが確証をもって伝えられるようになりました。

宍粟市も「日本酒発祥の地条例」を定め、山崎町 姫路市などの酒造協会からも協力を得る
ことができ、ぬくゐ川周辺も霊験の地として再び脚光を浴びることとなりました。

庭田神社の荘厳な霊域をゆっくりと抜けたその先に、清浄の湧水あふれるぬくゐ川がございます。どうか一度訪れてみてください。




コメント

このブログの人気の投稿

日本酒発祥の地